新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報

お知らせ

IPOPI(国際原発性免疫不全症患者会)より、原発性免疫不全症患者さんの新型コロナウイルスワクチン接種に関するステートメントが発表されました。

IPOPI声明

FDAが特定の個人におけるCOVID-19の暴露前予防のための新規長時間作用型モノクローナル抗体を認可しました。NEW
詳細はこちら(FDAニュースリリース 日本語訳)

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するQ&A (患者さん向け情報)

更新日:2021年7月31日
※重要情報があれば適宜更新します。

Q1:免疫不全症の患者はCOVID-19にかかりやすいですか?

A:免疫不全症の患者さんがCOVID-19にかかりやすくなる、また重症化しやすいという明らかなデータは現時点ではありません。COVID-19は基本的にはウイルスによる病気ですので、ウイルス感染に対して免疫が弱い患者さん、特にTリンパ球の機能が落ちている患者さんが重症化する可能性はあります。免疫グロブリン補充療法や予防的抗菌薬内服を続けている患者さんはこれまで通り治療を継続することが大切です。これらの治療を中止すると、もしかしたらCOVID-19に感染すると重症化するかもしれません。治療のことで心配なことがあれば、主治医の先生にご相談ください。またCOVID-19に限らず、常日頃感染予防としてこまめにうがいや手洗いを行ってください。

Q2:免疫抑制薬や生物学的製剤を使い続けていても大丈夫ですか?

A:免疫抑制薬や生物学的製剤などによる免疫抑制療法を受けている患者さんがCOVID-19にかかりやすくなるという明らかなデータは現時点ではありません。COVID-19にかかった場合に重症化の可能性が高くなると報告されているのは、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患の持病を有する人です。なかでも高齢の人です。免疫抑制治療の減量や中止によって現病が再燃する恐れがありますので、現在行っている治療は原則として継続してください。ただしCOVID-19に限らず感染症にかかると重症になる可能性もありえますので、主治医の先生にご相談ください。またCOVID-19を始めとする感染予防の一般的な留意点として、こまめにうがいや手洗いを行ってください。

Q3:家族内に感染者がでた場合(感染者との濃厚接触者となった場合)どうすればよいでしょうか?

A:厚生労働省から家庭内での注意事項が示されています。
厚生労働省 新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html

  1. 感染者と他の同居者の部屋を可能な限り分ける
  2. 感染者の世話をする人はできるだけ限られた人(一人が望ましい)にする
  3. できるだけ全員がマスクを使用する
  4. こまめにうがい・手洗いをする
  5. 日中はできるだけ換気をする
  6. 取っ手やドアノブなどの共用する箇所を消毒する
  7. 汚れたリネンや衣服を洗濯する
  8. ゴミは密閉して捨てる

ご家族や同居されている方は、すでに感染している可能性もあります。感染者の症状が軽快してから14日間経過するまでは、健康状態を観察してください。外出する際はマスクを着用し、こまめに手洗いをしてください。

Q4:コロナウイルスとはどんなものですか?

A:2019年12月に中国、湖北省、武漢(ウーハンと呼びます)で肺炎の集団発生があり、この原因が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)であることが判明し、この病気がCOVID-19と名づけられました。コロナウイルスはコウモリをはじめとするいろいろな動物に感染していますが、人に感染することはまれです。しかし起こりうることです。過去には重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV、CoVとはコロナウイルスのことを指します)や中東呼吸器症候群(MERS-CoV)があります。SARS-CoV-2はこれまでの二つのコロナウイルスとは異なるものです。

Q5:COVID-19はインフルエンザより悪いのですか?

A:毎年世界中で3-500万人が重症のインフルエンザにかかり、25-50万人が亡くなっているとWHOは推測しています。しかしCOVID-19に関する明らかな疫学的データはまだありません。コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは違うウイルスです。COVID-19とインフルエンザの明らかな違いは、予防接種がないこと、症状がほとんどみられない患者が多いことから、COVID-19はインフルエンザよりもより広まりやすいということです。集団発生があると病院に患者さんが溢れかえり、危機的状況になることは皆さんもニュースでご存じのことと思います。インフルエンザとCOVID-19の違いについては近い将来により明らかになると思います。

Q6:COVID-19に関する最近の状況はいかがですか?

A:日々状況が変わってきていますので、常に最新の情報を入手するようにしてください。
厚生労働省 地域ごとのまん延の状況に関する指標等の公表について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00016.html

Q7:COVID-19はどのように広まりますか?

A:COVID-19は過去のコロナウイルスの集団感染あるいはインフルエンザと同じように人から人に感染します。

  • ✔ 咳や鼻水から広まる飛沫
  • ✔ 感染した人との密な接触(握手や抱擁など)
  • ✔ 汚染された箇所を触ること、さらに洗っていない手で目、鼻、口を触ること

感染を防ぐには、これらを避けるようにしてください。

Q8:COVID-19よる症状はどのようなものですか?

A:ヒトコロナウイルスは通常は感冒様症状を呈します。主な症状は発熱、倦怠感、乾性咳嗽、鼻汁です。一部の患者さんでは頭痛、鼻閉、咽頭痛、下痢も訴えます。また味覚障害や嗅覚障害もあります。これらの症状は軽度であり、徐々に発症します。一部の患者さんでまったく症状がでない場合もあります。感染した患者さんの80%は1週間程度で特に治療を必要とせずに治ります。悪化する場合には呼吸器症状が強くなります。

Q9:免疫不全症の患者はCOVID-19の検査を受けた方がよいですか?

A:日々状況が変わっていますので、慌てないで主治医からのアドバイスに従ってください。
COVID-19の検査は鼻咽頭拭い液を検査室に送ってPCR(機器で遺伝子を増幅します)検査を行います。結果がわかるまでに数時間~1日かかります。インフルエンザのような迅速検査は現段階ではありませんので、検体を提出してもすぐに結果がわかるわけではないことを十分にご理解ください。
しかし人手不足やPCR機器の不足もあり、免疫不全症を含めた慢性疾患の患者さんに対して積極的な検査は勧められていません。現段階では無症状の免疫不全症の患者さんへの検査は勧められていません。さらにPCR検査が陰性であっても感染していないとは言い切れないこともあります(偽陰性)。

Q10:COVID-19の注意事項はありますか?

A:免疫不全症の患者さんでは人から人に広がるあらゆる呼吸器ウイルスに注意が必要です。ですから免疫不全症の患者さんでは地域におけるCOVID-19の感染状況について最新の情報を入手するようにしてください。免疫グロブリン補充療法はさまざまな感染症を予防するに有用ですが、コロナウイルスに対して有用とは言い切れません。WHOもCDCもとにかくCOVID-19感染の機会を減らす努力をするように勧めています。具体的にはQ3やQ7の回答をご参照ください。

Q11:学校に行かせてもよいでしょうか?

A:日々状況が変わっていますので、地域からの最新のアドバイスに従ってください。
学校への参加は地域の流行状況によって変わってきます。免疫不全症のお子さんについては専門医とよく相談して決めてください。

Q12:免疫グロブリン補充療法を受けていますが、ワクチンはいつ接種すればよいですか?

A:通常免疫グロブリン補充療法を受けている患者さんはワクチンの接種時期をずらしますが、現在わが国で使用されているCOVID-19ワクチンはmRNAワクチンであり、免疫グロブリン補充と同時に行っても、効果はあると思われます。

Q13:生物学的製剤の投与を受けていますが、ワクチンは接種できますか?

A:生物学的製剤の投与を受けておられる自己炎症性疾患の患者さんの一部では、ワクチン接種によって症状の増悪を認めることがありますが、COVID-19ワクチンによって症状が増悪するかどうかは定かではありません。接種の可否についてはよく主治医にご相談下さい。

上記の質疑応答については下記を参考にしました。詳細を知りたい方は下記をご参照ください。

IPOPI(原発性免疫不全症国際患者団体)COVID 19 and PIDs FAQs
https://ipopi.org/pids/covid-19-and-pids-faqs/

IPOPI(原発性免疫不全症国際患者団体) Joint statement on the current coronavirus pandemic SARS-CoV-2 ― COVID-19 in children and adult patients with Primary Immunodeficiencies (PID)
https://ipopi.org/wp-content/uploads/2020/04/COVID19_Joint_StatementUpdate2_20200408_1600CET_FINAL.pdf

【参考情報】

厚生労働省 新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html

厚生労働省 地域ごとのまん延の状況に関する指標等の公表について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00016.html

日本リウマチ学会 新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(患者様向け情報)
https://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19_2/

IPOPI(原発性免疫不全症国際患者団体)COVID 19 and PIDs FAQs
https://ipopi.org/pids/covid-19-and-pids-faqs/

IPOPI(原発性免疫不全症国際患者団体) Joint statement on the current coronavirus pandemic SARS-CoV-2 ― COVID-19 in children and adult patients with Primary Immunodeficiencies (PID)
https://ipopi.org/wp-content/uploads/2020/04/COVID19_Joint_StatementUpdate2_20200408_1600CET_FINAL.pdf

このページをpdf形式で開くにはこちらをクリックしてください